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プロセスマイニングとは何か?

2020.09.03

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「プロセスマイニング」という言葉をご存じでしょうか。これは業務改善手法のひとつであり、欧州で2010年代に入りその考え方が広まり始め、近年グローバル企業での積極的な活用事例が公表されています。 残念ながら、日本では海外の先進動向に敏感なコンサルティング会社等一部の先を除いて、多くの企業で「プロセスマイニング」についてはまだあまり認知されていないのが現状です。 しかし、日本国内でも本年6月に一般社団法人プロセスマイニング協会が設立され、プロセスマイニング関連事例を取り扱った書籍も発行される等、にわかにその注目度が増しています。 今回は、「プロセスマイニング」とは何なのか、その概要と企業の経営にもたらすインパクトについてお話させていただきます。

デジタルツインを作り出し、ビジネスプロセスの全容をつかむ

近年IoTやAI、VR、5G等情報技術の進歩は目覚ましく、我々の日々の活動に変革をもたらしています。 医療の世界では、外科医は、3DプリンターやVRの技術により、模型や仮想空間を利用し、手術する患者の臓器を再現し、それを使って事前に様々な検討を行うことで手術本番の成功率を高めています。 自動車業界では、新車開発の走行実験において、現実のテストコースや路上試験では状況設定が難しく手間のかかる条件下でのテストを、仮想環境の中で繰り返すことにより、そこで得られた知見を利用して、新車開発期間を短縮し、実験の質を向上させています。 さて、皆さんの会社では最新の情報技術を利用し、どの様な業務改善の取り組みが行われていますか。 「デジタルトランスフォーメーションを活用するようにトップから指示され、とりあえずAI-OCRにより紙書類の電子化を進めてはいるが、その先の業務改善策が思い浮かばない」、「RPA導入で事務処理の自動化を進めている。効果が自明な業域への対応は一巡した。更なる自動化領域をどう発掘したものか」等とお悩みの方がいらっしゃるのではないでしょうか。 前述の外科手術や自動車開発のように、現場の業務プロセスを完全にコピーした仮想プロセスフロー=デジタルツインを作り出し、それにより様々な視点から業務プロセスを分析し、他社や他部門での成功事例を参考にして、いくつかの改善施策を検証することによって自分たちに最適な解決策を見つける。そのような科学的な業務改革アプローチを実現したいと思いませんか。プロセスマイニングを使えば、それが可能になります。

継続的な業務プロセス分析、業務改善の検討を可能に

プロセスマイニングは、オランダで誕生しました。Eindhoven工科大学で教授を務めていたWil van der Aalst氏(現Aachen工科大学教授)が確立した手法で、統計学を用いたイベントログの分析によってイベントの過程を可視化できるのではという研究から出発しました。 Celonis自身もそのWil van der Aalst氏のアイデアから発展してきたもので、共同CEO、Alexander Rinke氏とBastian Nominacher氏、CTOのMartin Klenk氏が2011年に立ち上げた企業です。

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プロセスマイニングでは、そのインプットデータとして既存のシステムのトランザクションログデータを利用してイベントログを作成します。 或る業務、例えば、お客様の受注から、在庫確認、出荷、請求書の発行、そして入金・消込に至るまで、複数の担当部門や利用システムにわたり進行する一連のプロセスについて、イベントログを基にAI技術等を利用しプロセスフローモデルを生成します。 その際には、すべてのログデータを取り込むことにより、例え1,000件に1件の例外的な処理であっても、現実の業務でログがある限り、その処理がどのように進められたかそのフローがモデルに反映されます。 即ち、ルールを逸脱した例外処理や、購買キャンセルにより途中で処理が止まってしまったもの等も含めた、現実に行われている全てのビジネスフローが、デジタルツインのフローモデルの中に組み込まれます。 企業はそのモデル上でのシミュレーションをすることで、「納期の遵守率が低下傾向なのは与信審査プロセスに回される案件が多くなっているためだ」等の問題点につき業務全体を見渡して検討できます。 このようなお話をすると「調査時点でのプロセスをフローモデルにしても一過性のもので、その後も業務は変化していく、ワンショットのプロセスフローをモデル化するために、コストや労力をかけることはできない」等のご意見を伺います。 しかし、前述したようにプロセスマイニングはイベントデータを継続的にインプットデータとして取り込みデータを蓄積していくことで、常に過去から最新のプロセス状況を反映することができます。よって、例えば月次でのプロセス処理の件数や納期遵守率の推移等も捉えることができます。 したがって、ひとつのビジネスプロセス全体について、部門やシステム等の仕切りを越えて、継続的な業務プロセス分析、業務改善の検討が可能となります。

プロセスマイニングは日常業務でも大活躍

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日々のプロセスのデジタルツインモデルが継続的に生成され分析されているため、プロセスマイニングは業務フローの検討作業だけでなく、日常的な業務の中でも様々な支援を行います。 これまでの蓄積データを基に機械学習分析することで、現在進行中の特定受注案件について商品の出荷が遅延する可能性を予知し、現場担当者にアラートをメール等で発信することができます。さらに、ERPシステム等へのスケジュール調整の連携指示を担当者が行えるように提示することもできます。 また、経営管理の視点から、当該プロセスに設定した経営指標=KPIのトレースを実行しており、平均納期や業務の逸脱率等のKPIがどのように推移しているか、改善は進んでいるのか等について経営陣がリアルタイムで把握することもできます。もちろん、KPI悪化の原因追及も蓄積したログデータを基に行えます。 ドイツに本社を構える多国籍企業のシーメンス(Siemens AG)では、世界中の5,000人に及ぶ社員がCelonisのプロセスマイニングによるダッシュボードを利用しています。彼らは出社すると、朝一番にそのダッシュボードを開き、現在進行中の業務に問題が発生していないかを確認します。アラートが出ていればその内容を確認し、即座にその指示に対応します。彼らにとってCelonisは日常業務のスムーズな進行に欠くことのできないツールとなっているのです。シーメンスの事例詳細はこちらです。

プロセスマイニングは、ビジネスプロセスの改善に用いられるツールです。活用するデータはシステム由来のデジタルデータに限らず、ビジネスプロセスにかかわる人や作業機器の動きまでもIoTの活用でデジタルデータ化してインプットすればプロセスフローとして分析することができます。 プロセスマイニングはDX(デジタルトランスフォーメーション)時代の企業経営の全体像を目に見える形で把握することのできる、強力なツールになります。 プロセスマイニングを活用して、どこにRPAを効果的に活用できるプロセスがあるかを見つけ出し、AI等その他の先進技術についても、適用すべき業務、その効果を検証しながら業務改革を進めることができます。 ぜひ、プロセスマイニングを利用して、勘や経験だけではなく、DX時代の科学的なアプローチによる業務改善にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

→プロセスマイニング活用事例の動画説明はこちらから

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プロセスマイニングについてさらに詳しく分かりやすく説明します

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