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プロセスマイニングが経営にもたらすインパクト

2020.07.17

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「プロセスマイニングによって業務プロセスを最適化することで、実際の経営にどれだけの変革をもたらせるのか?」こうした質問が、プロセスマイニングの導入を検討する企業から度々寄せられます。

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Celonisでは、たとえば「資本の回転率」「オンタイムデリバリー(納期厳守)」「顧客満足度の向上」など、改善のテーマや目的、あるいはKPIをあらかじめ設定し、達成度を測定しながら取り組むのが特徴ですが、実際に経営にどのように役立つかがイメージできなければ導入にはなかなか踏み切れないものでしょう。 そこで今回は、プロセスマイニングが経営に与えるインパクトを、具体例を交えながら解説していきます。

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プロセスマイニングが財務部門にもたらすインパクト

プロセスマイニングがもたらす変革について、財務、調達、物流、顧客/受注管理といった部門ごとに、摩擦ポイントやその要因、改善のための施策、そしてKPIについての具体例をいくつか紹介していきます。

まずは財務部門から見ていきましょう。財務部門における改善テーマとして、よく挙げられるのが「運転資本の最適化」「業務効率の向上」「リスク管理/コンプライアンス」などです。

某社で「運転資本の最適化」をテーマにプロセスマイニングを実施したところ、摩擦ポイントとして「支払い遅延」が発見され、「ERPへの入力の遅れ」「情報の欠落」「支払いブロック」「顧客による遅延」など、複数の要因によるものと分析されました。

改善策としては、請求書データと予定されていた日付とに不一致が見つかった場合、アラートを発信して優先順位を設定する仕組みを構築。「受注書1件当たりのコスト」をKPIとして改善を進めていき、確かな成果が確認されました。

「業務効率の向上」を図る上での摩擦ポイントとしては「自動化の不徹底」が見出されました。具体的には、自動化に向けてOCRを導入したものの、取引先によっては標準外のフォーマットの書類が使われており、OCRで正しく読み取れず、結果として手作業の割合が増えていたのです。

そこで、「手作業を介さないノータッチ受注書の割合」をKPIに定め、各取引先に対して提出書類をEDIによる標準化された電子データに切り替えるよう要請。その結果、KPIが大きく改善しました。

「リスク管理/コンプライアンス」については、SOX法対応や内部統制上の課題として「職務分掌(SoD)の問題」が浮上しました。職務分掌規程などは定めていたものの、ERPによるオペレーションの制御不足や、専門的な人材不足などにより、偶然または故意にSoD違反が生じているものと分析されました。

そこで、職務と担当者とを紐づけたデータをもとにSoD違反をハイライトし、一つひとつ診断することで、KPIとした「SoD違反数」が着実に減少しました。

プロセスマイニングが調達部門にもたらすインパクト

次に調達部門です。調達部門における改善テーマとしては、「購買生産性の向上」「購買支出の最適化」「購買リスクの低減」などが挙げられます。それぞれ具体例を見ていきましょう。

「購買生産性の向上」については「価格変更の多さ」が摩擦ポイントでした。原因は価格交渉の結果がマスターデータに反映されず、変更前の価格で受注書が交わされ、サプライヤーから訂正依頼が出されるケースが多いことが原因と判明しました。

そこで、調達部門が契約価格を更新した際は、必ずマスターデータも更新するような仕組みを構築。結果として、KPIとした「価格変化率」が大幅に改善しました。

「購買支出の最適化」に関する摩擦ポイントは「販売機会の少ないロングテール(小ロット多品種)の支出」だと判明したケースもあります。そこで、イレギュラーな取引でも実績あるサプライヤーに依頼するよう徹底したところ、KPIとした「購買支出額」で改善が見られました。

「購買リスクの低減」ですが、たとえば危険物を扱う場合には、誤配送が深刻なリスクになりかねないため、その対策を講じる必要がありました。そこでプロセスマイニングにかけて「プロセスコンフォーマンス(規格適合性)」をKPIとした管理を推進しました。

これにより高リスク品目の納入場所については、追加の確認を行うという対策を実施してリスクの低減に努めることができました。

プロセスマイニングが物流部門にもたらすインパクト

物流部門では、「物流生産性の向上」「在庫の最適化」「信頼性の確保」などがテーマとなります。

「物流生産性の向上」について摩擦ポイントとして指摘されたのが「輸送の遅延」です。原因を分析したところ、輸送指示のベースとなる道路情報にリアルタイムデータではなく静的なデータを使用しているため、輸送経路の選択が不適切なケースがあることが判明しました。

解消策として、リアルタイムの道路情報データを用いて経路の最適化を図ったところ、「期限内の全量納入率」に大幅な改善が見られました。

「在庫の最適化」に向けた摩擦ポイントとなっていたのが「過剰在庫」です。商品ごとにリードタイムが異なるため、すべての商品について同じ比率で在庫を持とうとすると、在庫過剰が生じていると分析されました。

そこで、商品ごとのリードタイムに基づき在庫を持つ優先順位を設けたところ、KPIとした「在庫コスト」を抑制できました。

「信頼性の確保」を実現する上で摩擦ポイントとなっていたのが、「低品質なサプライヤーからの納入」です。さらに分析を進めると、調達部門でのサプライヤーごとの業務品質の評価が不十分なため、SLA(サービスレベル契約)の内容に不備があることがわかりました。

その解決のために、SLAに違反する場合はアラートを発信する仕組みを構築し、「プロセスコンフォーマンス(規格適合性)」をKPIとして管理しなおしています。

プロセスマイニングが顧客/受注管理部門にもたらすインパクト

最後に、顧客/受注管理部門の具体例を紹介します。ここで改善テーマとなるのは、「期限内納入率の最大化」「自動化による効率向上」「受注業務の品質向上」などです。

「期限内納入率の最大化」を図る上で、摩擦ポイントとなったのが「バックオーダー(在庫切れ)」です。現状を分析すると、在庫を上回る受注があった際は、即納できるもの/できないものに分けて手作業で受注書を作成していたため、対応が遅くなっていることが判明。

そこで、あらかじめバックオーダーになりそうな品目を予測し、アラートを発信する仕組みを構築。その結果、KPIとした「顧客満足度」「全量納入率」ともに改善されました。

「自動化による効率向上」については、「自動化率の低さ」が摩擦ポイントでした。原因としては、受注処理に関わる一連の業務プロセスで、主に検証などのための手作業の比率が高いことが指摘されました。そこで、自動化に適した大容量の定型業務を特定して自動化を進めた結果、KPIとした「ノータッチ受注率」「受注サイクル時間」のいずれも改善することができました。

「受注業務の品質向上」については、「返品率の高さ」が摩擦ポイントとして明らかに。原因分析により、誤った受注内容がそのまま処理され、誤出荷されるケースが多いと判明しました。

その解消のために、在庫の返品が予測される案件を検知する仕組み(頻度の高い品目やパターンを特定し検査体制をとる)を構築。KPIとした「受注返品率」「顧客満足度」はいずれも改善しました。

このように、Celonisが提供するプロセスに沿って適切にプロジェクトを進めることで、プロセスマイニングを短期間で経営上の成果に結びつけられます。自社の各部門が抱える課題を見出し、変革を導くために、是非、プロセスマイニングを活用してください。

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