2023.8.10
CeloUG(Celonisユーザー会)では、2023年6月26日(月)に第5回全体会議を開催いたしました。対面式で行われた当会議には、全国から21社42名の方にご参加いただき、活発に意見交換、情報交換が行われました。その様子の一部をご紹介いたします。ご参加くださいました皆様、どうもありがとうございました。
【プログラム】
第一部:15:00~17:00
開会の挨拶 近藤 裕司氏(KDDI株式会社 技術統括本部 次世代自動化開発本部 オペレーション基盤開発部 副部長) 谷原 一寛氏(パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 インフォテインメントシステムズ事業部 IVIシステムズBU 直轄 統括PM 兼 部長)
導入事例のご紹介 松島 宏明氏(日本電気株式会社 コーポレートIT・デジタル部門 経営システム統括部 上席プロフェッショナル)
海外のベストプラクティスの紹介 寺田 有汰 (Celonis株式会社 バリューエンジニアリング本部 部長)
グループディスカッション モデレーター:近藤 裕司氏、谷原 一寛氏 パネリスト: 松島 宏明氏(日本電気株式会社 コーポレートIT・デジタル部門 経営システム統括部 上席プロフェッショナル) 中村 匡亨氏(アフラック生命保険株式会社 契約サービス部門変革推進トライブ 企業管理高度化プロセスマイニング活用スクワッド プロダクトオーナー) 林 大介氏(パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 グローバル本部 グルーバルソリューション事業部 グローバルDX部 DXソリューションチーム チームリーダー) 三森 真嗣氏(株式会社NTTデータ データセンタ&クラウドサービス事業部 ServiceNowビジネス統括部 ハイパーオートメーション担当 主任)
Celonis製品・トレーニングアップデート情報 寺田 有汰
第二部:17:00~18:00
懇親会
【導入事例のご紹介:日本電気株式会社】
日本電気株式会社(NEC) コーポレートIT・デジタル部門 経営システム統括部 上席プロフェッショナル 松島 宏明氏より、「データドリブンな業務改善サイクルの確立に向けたNECの取り組み」と題して、昨年9月より開始したCelonisの活用について、活動取り組みの背景、活用事例、推進体制についてご講演いただきました。
同社の2025中期経営計画では、社内DX、お客様DX、社会DXを重要な要素として位置付けています。社内DXでは、業務システムの標準化やデジタル経営基盤の構築、データ統合などを進め、その成果をお客様や社会に還元することを目指しています。課題解決のためにプロセスマイニングソリューションを導入し、データドリブンな業務改善サイクルを実現しました。また、社内DXではNECグループ全体のITシステムを仮想的にOne NEC System化し、Celonisを含むプロセスマイニングのスタックを活用してデジタルな業務プロセス改善のPDCAサイクルを実現しています。
Celonisのクイックな活用事例を2つ紹介されました。
1つ目の事例は、間接材購買の請求書承認プロセスの効率化です。手作業のデータ抽出や督促メール送信の繁雑さが課題でした。Celonisの導入により、手続きの遅延を未然に防ぎ、年間700時間以上の運用フォロー工数を削減しました。そして、CelonisのAction Flowを使用して、自動化された督促メールの送信とフォロー対象案件の選別を実現しました。これにより、問い合わせ数を減らし、滞留を迅速に解消することができました。
続いて、新規システム導入時の業務プロセス定着状況確認と問題検出の事例を紹介されました。Opportunity to Order (O2O)の業務領域において、ServiceNowとMendixを使用して新規システムが導入されました。システム稼働初日からダッシュボードと分析モニタリング環境が整備され、運用状況と利用状況が可視化されました。これにより、登録件数の偏りや滞留を把握し、営業部門へのフォローアップやシステム設定の見直しをタイムリーに行うことができました。システムの利用状況はプロジェクトオーナーと共有され、稼働後のプロジェクト状況評価に活用されています。
同社では、CoE活動の効果的な推進のため、以下の2つの重要な要素に取り組まれています。1つ目は、エグゼクティブを巻き込んだトップダウンの体制とスポンサー・ビジネスオーナーとの関係構築です。オペレーショナルなKPIを定義し、経営スコアのモニタリングと同様のガバナンスのもとで改善を進めることで、推進力を強化しています。2つ目は、経営トップとCoEの一体化を促すことです。定期的なステアリングコミッティの開催や経営層とのコミュニケーションを通じて、メンバーが経営層の意図を理解し、行動できる機会を設けています。
また、CoEの体制や仕組み構築には、「Quick Win」の積み重ねが重要と述べられました。「Quick Win」を実現することにより、社内の信頼度が向上し、リソースの増強が認められます。ただ各テーマの担当業務部門には過去の改善実績があったため導入当初は改善アプローチを変更することに抵抗感もありました。そのためCelonisを用いた実機のデモや丁寧な説明を通じて関係者の理解を促しました。結果的に参加メンバーのプロセスを起点とした業務やITの改善意識も高めることにもつながりました。
最後に、Celonis活用における取り組みを簡潔にまとめて、データドリブンな業務改善サイクルの確立を目指し、これらに挑戦し続けると、講演を締めくくられました。
【海外のベストプラクティスのご紹介:Merck & Co. Inc】
弊社バリューエンジニアリング本部 部長 寺田より海外のベストプラクティスとして、Merck & Co. Inc.(以下、MSD)のCelonis導入事例を紹介しました。同社は、医薬品、ワクチン、生物学的治療薬、動物用医薬品を開発・製造する、米国の多国籍製薬企業で、2018年よりCelonis導入を開始しました。
まず、同社ではアクション・フローが「サイエンスプロジェクト」アプローチから「改善のためのプロセスマイニングに転換」する成功事例となりました。この成功事例は、持続可能で継続的に進化するオペレーティングモデルを確立することの重要性を示しています。このモデルの確立は、規模を拡大し、採用を促進し、価値を実現するために不可欠であり、さらに、成功したユースケースは、資金を確保し、新しいアイデアを生み出すために活用されています。
MSDは、CFO直下のシェアードサービスセンターを持ち、全世界に拠点を展開しています。彼らはバックオフィスのデリバリー、標準化、コンプライアンス遵守に注力し、デジタル技術を活用して生産性を向上させることが求められました。
MSDは、2018年にAP/P2P(調達から支払いまで)の領域でパイロットプロジェクトを開始し、2019年にはAR/O2C(受注から現金化まで)のプロセスを含むSCMと在庫管理に展開しました。2020年にはクラウド化を実現し、これらの取り組みは分析のためのプロセスマイニングのフェーズでした。
そして、オペレーション改善のためのプロセスマイニングのフェーズへと移行しました。2021年には請求督促の自動化を実現し、業務の効率化を図りました。同年7月には2重支払の自動検知を導入し、支払いの誤りを事前に検知することができるようになりました。2022年には債権回収に展開し、迅速かつ正確な債権回収を実現しました。そして、2023年からはこれらの改善策を業務全体に拡大しています。
そして、組織モデルの変換について紹介しました。最初のフェーズではクイックウィン(迅速な成果)の創出に焦点を当てました。個別分析、専任チームの組成、メンバーの技術力強化など、様々な取り組みを行い、迅速な成果を生み出すことに注力しました。そして、次の段階では、スケーラブルな組織運営への移行を図りました。具体的には、業務側のリソースとの連携を強化し、組織全体での取り組みを推進しました。さらに、価値実現への変更管理を開始し、効果的な組織モデルの組成に取り組みました。
最後にCelonisのトランスフォーメーションを実現する8つの成功の鍵を紹介し、寺田は、「今日本のお客様の多くは、クイックウィンの創出をいかに実現いくかの段階になっていると認識しています」と述べました。
【パネルディスカッション】
ユーザー企業様から4人の方をパネリストとしてお招きし、CeloUG理事の近藤氏、谷原氏をモデレーターとして、パネルディスカッションを行いました。
最初のトピックは、日本におけるクイックウィンの創出について語っていただきました。
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 グローバル本部 グルーバルソリューション事業部 グローバルDX部 DXソリューションチーム チームリーダー 林 大介氏は、「現在、グローバルと国内のプロジェクトに取り組んでいますが、海外では、ビジネス側とのディスカッションを進めながら、クイックウィンを実現し、改善効果が期待できるフェーズに入っています。海外の組織は比較的小規模なので、進展が早いと考えています。そのため、まずは海外でクイックウィンを実現し、経営幹部に報告してスポンサーシップを得ながら、それをベースにグローバル展開を進める取り組みを行っています。」と述べました。
アフラック生命保険株式会社 契約サービス部門変革推進トライブ 企業管理高度化プロセスマイニング活用スクワッド プロダクトオーナー 中村 匡亨氏は「データ収集に時間をかけるよりも、まず手元にあるデータを活用して、可視化、分析をし、現場の人々と対話することが重要です。そこから新たな気づきが生まれ、どのデータを追加するかなども見えてくるので、より早く成果を上げることができると考えています。」と語りました。
モデレーターの近藤氏は「データを分析するのは、業務をさかのぼる必要があるが、日本は曖昧を得意とする文化のため、データをただ収集しただけでは、うまく活用ができないことが多い」と述べられました。
次のテーマは、会場の参加者から出され、エクセルの達人をどのようにCelonisやDXツールに置き換えるかについてです。
日本電気株式会社 コーポレートIT・デジタル部門 経営システム統括部 上席プロフェッショナル 松島 宏明氏は、「NECではデータの活用は一部では進んでいますが、部門ごとに閉じたデータの利用が課題となっています。そこで、データを一ヶ所に集約することと、データのマスターのマスターを作成する試みに取り組んでいます。これは、時間がかかりますが、データの意味や定義を明確にし、データを活用するための仕組みと文化を構築することを目指しています。」と述べました。
株式会社NTTデータ データセンタ&クラウドサービス事業部 ServiceNowビジネス統括部 ハイパーオートメーション担当 主任 三森 真嗣氏は、「エクセルの活用には2つの限界があると考えています。1つ目は、エクセルを使用することで情報が特定の個人に依存し、ブラックボックス化してしまうことです。2つ目は、エクセルでは分析の範囲が限定されるということです。限定的な範囲の分析にはエクセルで十分ですが、部門を横断した分析を行う場合、Celonisのようなツールを活用する方が容易に実行できます。」と説明されました。
モデレーターの谷原氏は、「データの民主化には、守りのDXと攻めのDXの2つの側面があります。守りのDXは従来のオペレーションにデジタルを取り入れることであり、攻めのDXはデジタルの力を活用し、新たな価値、新たなビジネスモデルを構築します。日本企業は通常、まず守りのDXに取り組む傾向にあります。最初のステップとしては守りのDXから始めることも重要ですが、自部署だけでなく会社全体を見据えて、攻めのDXに移行することが重要です」と語られました。
その後、会場を移動して、懇親会を開催し、参加者とCelonis社員が有意義な交流を楽しみました。
最後に参加者からの生の声を一部ご紹介します。
パネルディスカッションで各社様からクイックウィンの要点を伺え、自社の展開にも参考になるものでした。
パネルディスカッションでも話にありましたが、課題を含めて事例の紹介に力を入れていただけると参考になると思いました。
ワークショップみたいな形でもよいかと思いました。
導入スタート時の事例が知りたいです。今後社内でさらに拡大をするにあたり参考にしたい。
これから導入、社内活動を進めていくタイミングの中でCeloUG参加は意義がある会合でした。
次回以降は、より具体的にどういう苦労があり、どう対応したのか、どういうアプローチがだめで、どういうアプローチがうまくいったのかを聞きたいです。
次回第六回は10月頃の開催を予定しています。
問い合わせ先:CeloUG事務局(Celonis株式会社内)marketing-japan@celonis.com
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