2022.07.28
Execution Management(業務実行管理)のグローバルリーダー Celonisは、プロセスマイニングの対面イベント「The 2022 Celonis World Tour Japan」を2022年6月28日に開催しました。基調講演には、Celonis 代表取締役社長の村瀬 将思が登壇。ポストコロナ時代において、企業が抱える「見えない非効率性」という課題を解消し、次世代のビジネスパフォーマンスを作り上げるCelonisのソリューションを紹介しました。パナソニック ホールディングス 執行役員 グループCIOの玉置 肇氏、ネットワンシステムズ 常務執行役員 CTOの篠浦 文彦氏を招いたエグゼクティブインタビューの模様も合わせてお届けします。
イベントレポート事例セッション編は -> こちらから
Celonis株式会社
代表取締役社長
村瀬 将思
ここ数年の間に企業におけるビジネスの在り方は、大きく様変わりしました。なかでも売上増加、利益確保、生産性改善、顧客満足度向上、炭素排出量削減といったビジネス価値を実現するデジタル変革は、企業にとって「世紀のチャンス」とも言えるでしょう。このデジタル変革は、インターネット検索エンジンや仮想化技術の登場、クラウドコンピューティングの台頭と比べても、引けを取らないほどのインパクトがあります。
これから紹介する「プロセスマイニングによる可視化と、データによるアクションフローの実行」も例外ではありません。このデジタル変革を進めることで、非常に短期間のうちにビジネス価値を手に入れることが可能になります。こうした新しい業務環境の世界を、私たちは「次世代のビジネスパフォーマンス」と呼んでいます。
世紀のチャンスにつながる次世代のビジネスパフォーマンスを作り上げるには、企業が直面する「世紀の課題」を解決しなければいけません。この「世紀の課題」と言えるのが、私たちの日常業務のなかに潜む「見えない非効率性」です。この見えない非効率性はビジネスのトップライン、ボトムライン、グリーンラインのすべてに大きな影響を及ぼしており、これを解消するにはビジネスを構成する何千もの業務プロセスを理解する必要があります。
多くの企業はERP、CRM、サプライチェーンなどの基幹システム上で購買、支払、出荷、請求といった業務プロセスを回しています。これらのシステムの稼働環境は、オンプレミスとクラウドが混在しており、数十年前に作られたレガシーシステムに引きずられながら一部にクラウドを取り入れて業務を回しているのが実情です。どの業務プロセスも、作られた当時はシンプルかつ理路整然とした形に定義されていましたが、ビジネスの変化に合わせて業務の現場で働く人たちが頑張って改変していくうちに、いつしか「スパゲッティ」と言われる状態になってしまいました。
もちろん企業ではこれまでも業務の改善活動に取り組んできました。しかし、そうした業務改善を担当するベテラン社員も「全然気づかなかった」と驚くような、非効率な隠れた業務プロセスが溢れています。こうした隠れた業務プロセスの非効率性を、私たちは「ビジネスパフォーマンスのサイレントキラー」と捉えています。サイレントキラーとは、そのままにしておくと合併症を引き起こすような、自覚症状に表れない病気を指す医学用語ですが、まさに非効率な隠れた業務プロセスは知らず知らずのうちにビジネスパフォーマンスを大きく低下させる危険性があります。さらに近年は、新型コロナウイルスのパンデミック、世界的な景気後退、SDGsやESGへの対応といった社会情勢のなか、業務プロセスを変更することは待ったなしの状況となっています。こうした制御不能な課題が山積すると、いかに業務システムの強度が堅牢であっても最後には必ず崩壊してしまいます。
このような見えない非効率性を解消するには、業務プロセスをリアルタイムに可視化してビジネスパフォーマンスを向上させる必要があります。それを実現するのが「Celonis Execution Management System(EMS)」です。
Celonis EMSは、情報を記録するSoR(System of Record)、人や組織の関係性を重視したSoE(System of Engagement)といった既存の情報システムとは一線を画し、SoRとSoEの両方を包含してビジネスパフォーマンス、すなわち生産性を管理して全体最適を促す「SoP(System of Performance)」という新しいカテゴリーに分類されるテクノロジーです。現状のシステムからリアルタイムにデータを抽出してプロセスを可視化し、プロセスマイニング・タスクマイニングのテクノロジーによりプロセスの非効率性を抽出し、課題の根本的原因分析を行ってビジネスインパクトを算出するというアーキテクチャとなっています。プロセスに知能・インサイトを取り入れ、次にとるべきアクションのトリガーを引き出し、リアルタイムかつ自動的に非効率性を解消するという機能を提供します。既存システムに手を加えることなく迅速に導入・運用できることがCelonis EMSの特長であり、私はCelonisを「DXの最後のピースかつコントロールタワー」だと考えています。
Celonisはこのような唯一無二のソリューションを日本企業のお客様に提案し、「日本を元気にしたい」「明るい日本の未来を作りたい」と真剣に考えています。日本企業の多くは現場のボトムアップで業務の改善活動が行われているため、全社のビジネス戦略、プライオリティと連携しづらいという課題があります。また、各部署ごとに個別最適化されたオペレーションによって全社標準化が難しく、これが非効率性を生み出す原因となっています。コロナ禍によって働き方が大きく変わったことも、ビジネスパフォーマンスを停滞させる要因と言えるでしょう。このように日本企業にとって変革に取り組むことが急務となっており、これから持続可能な社会を実現していくためにも変革は必須と言えます。
Celonisでは変革を支えるオペレーションモデルを再定義するために、「全社の戦略に基づいて、自社のステークホルダーに価値を提供する組織・運用モデル」の構築を目指すことが重要だと考えています。ポストコロナの新たな時代に向け、新しいビジネスオペレーションモデルを定義していくなか、Celonis EMSは全社変革の共有言語として最適に機能します。またCelonisは、ビジネス変革の中枢を担うエグゼクティブを招いた情報交換会「CxO Club」、ビジネス効率化基盤としてCelonisを活用する企業が集うユーザー会「CeloUG」など、企業同士が交流し研鑽を深める場も提供しています。
パナソニック ホールディングス株式会社
執行役員 グループCIO
玉置 肇氏
パナソニックグループでは、業務プロセスのトランスフォーメーション、ビジネスモデルのトランスフォーメーションを実現することが、本当のDXだと考えています。レガシーシステムを刷新だけでなく、レガシーシステムで稼働する無数の業務プロセスから従業員のマインドセットまで、すべての変革が必要です。そこで「パナソニックトランスフォーメーション(PX)」と銘打った変革を進め、DX以前から足元の課題となっているレガシーモダナイゼーション、マスターデータやサプライチェーンマネージメントの整流化から取り組み始めています。とくにレガシーモダナイゼーションについては、グループ全体で1,200~1,300もある業務システムを別のプラットフォームに乗せ換えるのではなく、まずは業務プロセスを見直すところから始め、その業務プロセスを可視化・分析してより簡素化するためにCelonisを活用しています。今後はレガシーシステムのモダナイゼーションだけでなく、サプライチェーン全体を最適化するためのプロセスマイニングツールとしても、Celonisを適用していきたいと考えています。
ネットワンシステムズ株式会社
常務執行役員 CTO
篠浦 文彦氏
ネットワンシステムズは、創業からネットワークインテグレータとして成長してきました。近年はネットワークを中心にクラウドやセキュリティなどにもビジネスドメインを拡大し、設計・構築からカスタマーサクセスまでお客様のライフサイクル全体をサポートするサービスのポートフォリオを提供しています。また私たちのポリシーとして、新しい製品・サービスを取り扱う際には必ず社内に導入して経験・知見を蓄積し、それをお客様に提供するという考え方にこだわています。DXについても経営戦略の一つとして取り組んでおり、そのなかで業務プロセスの改善にも取り組みました。しかし、全体最適ではなく部分最適、つまり業務改善活動に留まっているという課題がありました。この課題を解決するにはプロセスマイニングを活用する以外の選択肢はないと判断。今後のビジネス成長、ガバナンスや内部統制の強化に向けた業務プロセス改善に取り組む、Celonisの導入を決めました。ネットワンシステムズでは、まずはカスタマーサポート部門の業務プロセス改革に採用し、そこからビジネス部門、コーポレート部門へと活用の幅を広げているところです。
イベント当日の各講演については、こちらよりオンデマンド視聴いただけます。是非ご覧ください。
イベントレポート事例セッション編は -> こちらから
TOPICS一覧に戻る