2023.5.19
初めまして、Celonis Japanの岡部です!
私自身のキャリアは2009年よりスタートし、日系製造業・外資系コンサルティング会社を経て参りました。この間に、自身の体験も含めて積み重ねてきた問題意識を一言で申し上げれば、「無用なルーチンによる時間的搾取や、不本意に背負わされるリスクや監査から、全てのビジネスマンを開放したい」というものです。こうした想いで、様々な企業の経営品質や生産性の向上に貢献すべく、現在は、日本におけるプロセスマイニング活用の浸透に向けて取り組んでいます。
今回は、プロセスマイニングの普及を目指す社外活動の一環として、慶應義塾大学の皆様のご協力のもと実施させていただいた講座・ワークショップについて紹介いたします。
【概要】
テーマ:業務プロセス分析・管理とプロセスマイニング
ワークショップ:身近な題材によるビジネスプロセスマネジメント(BPM)の体験
講座:業務プロセス分析・管理のデータドリブンな実行方法「プロセスマイニング」
日時:2023年1月16日(月)
場所:慶應義塾大学 三田キャンパス
対象:商学部横田研究会(管理会計、マネジメント・コントロール)所属の学部3・4年生
講師:Celonis株式会社 岡部健司、渡井祥一、石井健介
【実施内容】
(1) ワークショップ:身近な題材によるBPM体験
まずは「業務プロセス」を理解し、「BPM/BPR」の実行を体験していただくために、身近なトピックを対象としたワークショップを実施しました。
<参考>
Business Process:業務プロセス
BPM (Business Process Management):業務プロセス管理
BPR (Business Process Re-engineering):業務プロセス改革
<概要>
今回は、“フリマアプリで書籍を販売するための業務プロセスの分析・改善”を共通の課題として、参加者を4チームに分けて取り組みました。デザインシンキングのアプローチを採り入れ、対面でのアイデア出し・討議を行い、発表するという形式です。
[ワークショップの流れ]
現状分析
課題検討
課題抽出
課題の優先度設定
打ち手の検討・提案
[ワークショップ資料抜粋]
<参加者の感想(抜粋)>
「優先課題の決定において、挙げた側と、投票する側で、意見が異なることがわかり興味深かった。」
「自由に会話し、手を動かしながらアイデアを出せたことで、活発な議論を実施できた。」
「一方で、時間・場所の制約や、チーム毎のメンバ構成などの環境・条件により、着眼点のバラツキや、雰囲気の差があると感じた。」
<まとめ>
対面での討議や、投票による意思決定においては、主催者・参加者のメンバ構成や実施環境などの条件が結果に影響を与える。
この形式は、新しいアイデアを活発に出し合うことが求められる活動においては有効である。
一方で、業務プロセスの全体像を正確に分析するという目的においては、正確性や適時性の観点で、限界もある。
[ワークショップ資料抜粋]
(2) 講座:データドリブンな業務プロセス分析の実行方法「プロセスマイニング」
次のステップでは、身近な業務プロセス分析の体験を通じて認識された“対面での討議や多数決によるアウトプットの限界”を乗り越えるために、どのような方法があるのか、という話題に移りました。
<概要>
ここでは、その方法のひとつとして「プロセスマイニング」という技術を説明しました。“データドリブンな業務プロセスの分析・管理方法”として、プロセスマイニングを実装したソフトウェア・サービスを業界でリードしてきたのが弊社Celonisです。ルーツはドイツの大学発ベンチャーで、2010年の創業以来、製造業・流通業・金融機関など多くのグローバル企業で導入され、同時にコンサルティングファームをはじめとしたパートナー企業のサービス強化にも貢献してきました。日本でも急速に浸透が進んでおり、事業会社における自社業務のプロセス分析・管理の実例に加えて、多くのパートナー企業が提供するサービスにおいても活用されていることを紹介しました。 プロセスマイニングという技術や、それを実装したサービスについては、ご参加者の大半が初めて耳にしたと伺いましたが、「業務上の処理がシステム上で行われ、時系列に追跡できるデータが蓄積されている限り、正確かつタイムリーな分析が可能である」というエッセンスは直ぐにご理解いただくことができました。 [講座資料抜粋]
<参加者の感想(抜粋)>
「プロセスマイニングが、企業における業務実行の現状を、客観的・定量的に表す効果的な手段だと理解した。就職後に、ぜひ利用してみたい。」
「日常的な業務の中に、非効率性・課題が存在することを認識した。データを揃えることができる今の世の中で、これを利用しない手は無いと感じた。」
<まとめ>
業務プロセスの現状に対する分析・管理(BPM)において重要なのは、リアルタイムかつ正確なアウトプットを、継続的に提供することである。
これをデジタルに実現する有力な方法である「プロセスマイニング」の活用が、日本でも多くの企業において浸透してきている。
プロセスマイニングは、業務上の処理を時系列に可視化する技術で、データ抽出において重要な3要素が「ケース/アクティビティ/タイムスタンプ」である。
【最後に】
冒頭に述べた通り、私がプロセスマイニングに関わる仕事を志したきっかけは、多くのビジネス現場に散見される前時代的な業務慣行に起因して、不本意ながら苦汁をなめた幾つかの体験でした。これを当時の上司や同僚と感傷的に振り返り、“良い経験”などと思い出に留めるのではなく、実際に変化をもたらすアクションに貢献したいという想いが、動機となっています。
「業務の非効率性やリスクを検知し、改善すべきポイントを、客観的に忖度なく提示する」という営みを内製化するには時間を要することが想像されます。しかし、データ分析に基づき取り掛かるのは理想的な第一歩であり、これを私たちはお手伝いしていきたいと考えております。
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